コラム&メルマガ アーカイブ 2009/12/21

ここでは、当事務所の情報発信等を兼ねたコラムやこれまでに配信した過去のメルマガ【エフォート通信】を掲載しています。
内容は、中小企業・小規模事業者、創業者に役立つ情報です。

※セミナー案内等の「号外」は割愛しています。

【自社の強み‐知的資産経営について1】

こんにちは。エフォート行政書士事務所の中島です。


このメールは私が名刺交換をして頂いたり、普段お世話に
なっている方々に送らせて頂いております。

また、こういったメールがもし不要とのことでしたら、
お手数ですがご一報くださいますようお願いいたします。
m(_ _)m

本メールが皆さまの何かのお役に立てば幸いです。(^_^)


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前回(10月30日)配信させていただいた
【編集後記】にも書いていましたが、

作成支援させていただいた知的資産経営報告書が、

今月頭に、ついに経済産業省に掲載されました!


滋賀県で第1号の知的資産経営報告書であると同時に

滋賀県で第1号の開示事例です!


僕と同じ行政書士の谷田良樹先生とで作成支援した
滋賀特産品振興企業組合様と北川製茶様です。


経済産業省の「知的資産経営ポータル」内の
「知的資産経営報告書開示事例」に掲載されています。

「知的資産経営ポータル」↓
http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/index.html

「知的資産経営報告書開示事例」↓
http://www.jiam.or.jp/CCP013.html


また、経済産業省の近畿経済産業局の
「知的資産経営のすすめ」にも掲載されました。

近畿経済産業局:「知的資産経営のすすめ」
http://www.kansai.meti.go.jp/2giki/network/vbnet_ic.html


ということで、今日はこの「知的資産経営報告書」について
2回にわたり触れてみたいと思います。

今日は、「知的資産経営について」
明日は、「知的資産経営報告書の利用法」
です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 自社の強み‐知的資産経営について1
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さて、この「知的資産経営報告書」・・・

まだまだ一般的には???という感じかもしれません。

その前に、「知的資産経営」って???って感じかと思います。


そこで、過去のブログ等からも抜粋しながら、
どんなものか少しご説明します。


「知的資産経営」は、現在、
経済産業省が推進しているものです。

参考
 ⇒ 経済産業省:知的資産経営ポータル
http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/index.html

 ⇒ 知的資産経営のすすめ-近畿経済産業局
http://www.kansai.meti.go.jp/2giki/network/vbnet_ic.html


9月25日の日本経済新聞の近畿版に
「知的資産 見せて活用」という記事でも
知的資産経営報告書について書かれてました。
(著作権の関係上、表示できません)


これを、自治体として力を入れているのが京都府で、
京都では、「知恵の経営」って言います。
(京都らしいというか)

そして、「知的資産経営報告書」のことを、
「知恵の経営報告書」といいますが、同じものです。
参考
 ⇒ 知恵の経営のススメ-京都府HP
http://www.pref.kyoto.jp/sangyo-sien/1220963445686.html


ちなみに僕も、この「知恵の経営ナビゲーター」
登録されています。


京都府では、この「知恵の経営報告書」に対して、
認証制度を取り入れていて、認証を受けた企業に対して、
【「知恵の経営」推進融資】を利用することが出来ます。


最近では、金融機関も、この「知的資産経営報告書」を
融資の決定を行う際の、重要な位置付けと認識している
ところも出てきています。


しかし、まだまだ浸透しきっていないので、
実際に作成実績のある支援者自体、
かなり少ないのが現状ですし、
先の経産省のサイトに開示事例として
取り上げている企業も、90社弱です。


その中で、僕が滋賀県で第1号の作成支援を
させていただいた立場からご説明させていただきます。



まずは「知的資産」・・・


「知的財産権」なら聞いたことあるけど、
いきなり「知的資産」って何って聞かれて、
???という方も多いと思います。


特許とか著作権といった「知的財産」
聞いたことあるけど、「知的資産」って
それとは違うの?


それに、小さい会社だとそんな「知的財産」なんてないし、
あってもいろいろお金かかるだろうし・・・

このように思われる方も多いかと思います。


「知的資産」は目に見えないものです。

例えば、資本金や従業員数、さらには、
財務諸表に表れる数字などは目に見える資産として、
すぐに把握できるかもしれません。


しかし、「自社の強みは?」と問われると、
「技術」や「製品・サービス」そのものだったり、
その理由が「顧客のニーズに合致していること」や、
「高い品質」、「他にない稀少性」などの項目だったり
ということが多いのではないでしょうか?


これらは財務諸表では表すことができません。

企業が「自社の強み」と考えている項目の多くは、
非財務項目(無形の強み)だからです。


こういった「無形の強み」こそが「知的資産」なのです。


「知的資産」は企業の本当の価値・強みであり、
まさに企業競争力の源泉です。


企業の経営・活動は、知的資産の活用なしには
成り立たないものと言えます。


なんとなく、「知的資産」ってわかたような
わからんような・・・

要するに、目に見えない無形の強みなんだなぁ。。。
という感じでしょうか(笑)


では「資産」とは・・・


資産には、「有形資産」と「無形資産」があります。

「有形資産」って、「モノ」ですね。
お金、土地、建物、車・・・

それに対し、「無形資産」は、「目に見えないもの」。
借地権、電話加入権、アイデア、知識・・・

で、「無形資産」の中には下の1~4があり、
1>2>3>4と言う感じです。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1.無形資産
  ex.)借地権・電話加入権など

2.知的資産
  (無形の強み:自社の競争力の源泉と
   なっているもの=譲渡できないもの)
  ex.)人的資産・組織力・経営理念
    顧客とのネットワーク・技能など

3.知的財産
  (権利に準ずるもの:取引可能な無形の強み
   法律で保護されているもの)
  ex.)ブランド・営業秘密・ノウハウなど

4.知的財産権
  (権利:取引可能な権利化された無形の強み)
  ex.)特許権・実用新案権・著作権など
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

そのうち、広い意味での「知的資産」は、
2.~4.
です。

4.はいわゆる「権利」として、届出や登録がされたりして、
ある意味、「見える化」してますが、2.や3.なんて、
それこそ目に見えないですよね。

でも企業にとって、例えば「職人の技」や
「アイデア力」なんて、凄く大きな財産です。


つまり、「知的資産」とは、
特許やブランド、ノウハウなどの「知的財産」と
同じ意味ではなく、それら「知的財産」を
一部に含んだもの
です。

先の「高い品質」等の項目や、企業にある組織力、
人材、技術、経営理念、顧客等とのネットワーク、
さらには社長の経営手腕など、財務諸表には
表れてこない目に見えにくい経営資源(無形の強み)
の総称を指すんです。


優秀な人材や取引先や顧客などのネットワーク、
社長の人脈、営業力、地域性の強み、シェア、
社員のモチベーションを高める活動など、
有形な形としては目に見えないけど、
企業が存続している以上、必ず何かありますよね。


それが、無形の強みであり「知的資産」です。


また、この知的資産を次の3つに区分する方法もあります。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

【人的資産】・・・
従業員が退職時に持ち出す資産。

従業員の技・知識や勘など、その人間が辞めてしまったら
会社から無くなってしまうもの。

例)個人の知識、ノウハウ、経験、スキル、対応力など


【構造資産】・・・
従業員の退職時に企業内に残留する資産。

業務マニュアルや権利化された技術など、
従業員の間で共有が可能であり、
1人の従業員が辞めても企業に強みが残るもの。

例)特許権、商標、経営理念、企業文化、データベース、
ネットワークシステムなど


【関係資産】・・・
企業の対外的関係に付随した全ての資産

顧客や供給業者、金融機関等との良好な関係(ネットワーク)など、外部との関係から構築されたもの

例)顧客関係・顧客満足度・供給業者との関係・
  金融機関への交渉力など

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


「知的資産」の意味は分かっていただけましたでしょうか?


で、それら知的資産をわかりやすく伝え、企業の将来性や
経営戦略に関する共有化を図るために、
「知的資産経営報告書」を作成し、
「見える化」していこうということです。



それでも、自分の企業の「無形の強み」=「知的資産」
って何って聞かれても、「自社にあるかなぁ」
ということもあります。


そこで、キーワードが「こだわり」です。

例えば、
何故その商品が売れるんですか?
そこには何か「こだわり」がありませんか?
では、その「こだわり」の理由はなんですか?
いろいろヒヤリングし、「こだわり」を発見して、
「見える化」していくわけです。


また、「自社の強み」といっても、
社長や経営者でさえ「認識していない強み」
あることも多々あります。

認識していたとしても、社長や経営者の頭の中にあって、
お客様だけでなく従業員や取引先、さらには金融機関等に
伝わっていない(開示されていない)ことも
多々あるのではないでしょうか?

そこで僕たちのような、その企業の事業について
精通していない門外漢の第三者が、
聞いていくことで、「見える化」していきます。


こうやって、「自社の強み」を明らかにしていきます。


そうすると1つのストーリーができるわけです。

≪経営理念→マネジメント→技術→製品・サービス≫

というように。


このように4つのセグメントに分類して、
「知的資産」の動的な価値を、
事業活動の流れに沿ってとらえることで、
「知的資産」と業績の関係を明らかにしていきます。


このとらえ方を「セグメント分析」と言います。


でもそれを探り出すために、

≪製品・サービス→技術→マネジメント→経営理念≫

と見ていくわけです。


というのも、 これをいきなり「理念」から見ていくと、
強みを見落としがちになります。


そこで、この
≪理念→マネジメント→技術・ノウハウ→商品・サービス≫

という事業活動の流れを、逆から遡って見ていくことで、
分析していくわけです。


さらに、4つのセグメントがストーリーとして
繋がっていることに注意して分析をします。


以上のことを踏まえて、
各セグメントの内容を簡単に説明します。


「商品・サービス」は、商品の特徴や内容などです。

「技術・ノウハウ・ネットワーク」は、
その特徴がある理由や売れる原因、背景にある技術などです。

つまり、現在結果としてある「○○力」です。
たとえば、先の「職人の技」や「アイデア力」とか
「販売力」だったり「技術力」だったり、
「取引先との関係」などです。


「マネジメント」は、「技術・ノウハウ・ネットワーク」の
「○○力」を得るための工夫や取組み、努力です。

例えば、研修制度だったり、
販路開拓のための取組みなどです。


「経営理念」は、そういった工夫や努力の源泉の考えです。

このように分析して、経営者でさえも気づいていない
潜在的な「知的資産」を発掘していくわけです。



そして、「技術・ノウハウ・ネットワーク」といった
それぞれの会社の強みや、その強みが生み出された
努力や工夫といった「マネジメント」、

さらには、その努力や工夫を行う背景にある
「経営理念・方針」といったものを
しっかりとを把握し、活用することで、
業績の向上や、 会社の価値向上に結びつける。


これが「知的資産経営」というものです。


で、「知的資産経営報告書」とは・・・

企業が有する「知的資産」の認識・評価を行い、
それらをどのように活用して企業の価値創造に
つなげていくかを示す報告書です。

また、そういった強みを、
客観的判断ができるような数値(KPI)を探し出し、
知的資産経営報告書にまとめ、
企業の価値を正しく判断してもらえるようにしていきます。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
KPI・・・
key performance indicator=重要業績評価指標

定性的な知的資産を、定量的評価した数値のことです。
直接的な数値がなければ、代替指標として掲げます。

例えば、「顧客満足度が高い」ならば、
それを客観的に評価できる指数として
リピート率やクレーム率などをKPIとして掲げます。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


では、伝える(開示する)にしてもどのように伝えれば、
信憑性の高い説明ができるのでしょう?

例えば、「顧客満足が高い」という強みがあるとします。

しかし、その強みについて、どのようにすれば
説得力のある説明ができるでしょうか?

その強みの説明として、
「クレーム率」や「リピート率」といった
「満足度」を裏付ける材料(指標)があれば、
信憑性が増します。

さらにその指標が第三者によるものだと、
より信憑性が増します。


その信憑性を高めるために、KPIを入れます。


このKPIには、将来キャッシュフローや将来利益に
繋がる数値を取り入れることが有効です。

価値創造のストーリーとしてとらえることが大事ですが、
単なるIR誌や会社概要、PR誌、社長の夢報告や
単なる会社ストーリーにならないためです。


ちなみに、この指標であるKPIを探し出す・・・

これが作成支援者としての腕の見せ所でもあります!




かなり長くなりましたが、
今回説明させていただいた内容は、
「知恵の経営」の「セグメント分析法」
というものを使ってます。


ちなみに、【「知恵の経営」報告書作成ガイドブック】
作成者は、京都工芸繊維大学から今年の4月から
立命館大学の草津キャンパスに赴任された
中森孝文准教授です。
http://www2.plala.or.jp/nakamori/newpage1.html


京都府の「知恵の経営」の評価委員長でもあり、
研究者としてだけでなく報告書作成実践者としても
第1人者で、いわば権威です。

この中森先生の著書の
「無形の強み」の活かし方
―中小企業と地域産業の知的資産マネジメント

は、知的資産経営について、
とてもわかりやすくとても参考になります。
http://www.amazon.co.jp/dp/4806528331/


その方と懇意にさせていただいているんですが、
滋賀の草津キャンパスに赴任されているということで、
僕としても中小零細企業の活性化に有効な「知的資産経営」を、
滋賀で浸透させたいと思ってます。


明日は、「知的資産経営報告書の利用法」について
お話します。



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エフォート行政書士事務所
行政書士 中島 巧次
〒520-0864 滋賀県大津市赤尾町4-24
TEL:077-532-7233 FAX:077-532-8288
URL: https://effort-office.net/
ブログ:http://koutannikki.seesaa.net/
e-mail: xyz●effort-office.net
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【編集後記】

先週今週とかなり冬らしい天気で、
寒がりの僕としては、ツライところです。

気が付けば、もう年の瀬。。。

そしてクリスマス。

ちなみに26日は僕の誕生日。。。

クリスマスとかで忙しいんならいいんですけど、
そんなロマンティックな予定は全くです(涙)

年末の追い込みで忙しいかと思いますが、
どうか体調だけはくれぐれも気を付けてください。


最後まで読んで頂きありがとうござます!!


今後、こういったメールがもし不要とのことでしたら、
お手数ですがご一報くださいますようお願いいたします。
m(_ _)m


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