「接待」の定義は、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」となっています。
(警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」より)
この解釈運用基準の中に、その判断基準が記載されています。
- 談笑・お酌等
特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たる。
これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は、接待に当たらない。
- ショー等
特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は接待に当たる。
これに対して、ホテルのディナーショーのように不特定多数の客に対し、同時に、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は、接待には当たらない。
- 歌唱等
特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為又は客と一緒に歌う行為は、接待に当たる。
これに対して、客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、又は不特定の客の歌に対し拍手をし、若しくは褒めはやす行為、不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為又は歌の伴奏のため楽器を演奏する行為等は、接待には当たらない。
- ダンス
特定の客の相手となって、その身体に接触しながら、当該客にダンスをさせる行為は接待に当たる。
また、客の身体に接触しない場合であっても、特定少数の客の近くに位置し、継続して、その客と一緒に踊る行為は、接待に当たる。
ただし、ダンスを教授する十分な能力を有する者が、ダンスの技能及び知識を修得させることを目的として客にダンスを教授する行為は、接待には当たらない。
- 遊戯等
特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は、接待に当たる。
これに対して、客一人で又は客同士で、遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為は、直ちに接待に当たるとはいえない。
- その他
客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当たる。
ただし、社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触等は、接待に当たらない。
また、客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。
これに対して、単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、コート等を預かる行為等は、接待に当たらない。
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よく「客の隣に座ると接待だけど、そうでなければ接待に当たらない。」と誤解されていますが、一概には言えません。
しかし、この「接待行為」が大きなポイントです。「接待」が行われるのなら、風俗営業の「許可」を取らないといけません。
しかも営業は、午前0時までと規制されており、0時から午前6時までは営業することはできません。
ですので、キャバクラ・クラブ・ラウンジ・ホストクラブ…等は全部、風俗営業1号営業の「許可」が必要になります。
ちなみに、ガールズバーですが、これもバーという名前や種類に関わらず、実態で判断されます。
ですので、風俗営業許可が必要なのか、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要なのか、飲食業の許可だけでいいのかなどは、名称ではなく実態で判断する必要ああります。
スナック、キャバクラ、クラブ、ガールズバーってどう違うの?
スナック、キャバクラ、クラブの違いに関しては、結論から言うと、特に明確な定義や区別はありません。
それでは答えになっていないということもあり、ここでは実態と経験を踏まえ、あくまでも私、中島巧次の私見ですが、大まかな違いの目安として述べようと思います。
スナック
地方によっては、「スタンド」と呼ばれたりします。
スナックは、カウンターがメインで、あっても1つか2つのボックス席。女性はママを含め1~2,3人で全客を対応するといった感じで、1グループに1人付く感じです。
カラオケのあるところも多く、比較的リーズナブルで、皆でワイワイ楽しんだり、カウンターに一人で飲みに行ったりするといった感じです。
スナックの場合、「接待行為」がなく、しかも0時で営業が終わるのであれば、風俗営業許可は必要なく、飲食業許可のみで営業ができる形態もあります。
「接待行為」がなくても0時以降も営業をするなら、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要になります。
しかし、やはり風俗営業の許可を取っておく方が、営業時間は規制されますが「接待行為」が可能になるので無難だと思います。
ちなみに、1つの店で0時までは風俗営業で、0時以降は深夜酒類提供飲食店営業にするというのは先述の通り不可です。
キャバクラ
元々は、キャバレー(旧1号営業=ダンス+接待+飲食)とクラブ(旧2号営業=社交飲食店)が合わさってできたもので、大衆的なキャバレーと高級なクラブの間のややリーズナブルな感じのもの。
しかし、キャバクラ自体が一般化し、大衆的な所から高級な所までいろんな雰囲気の形態があります。システムとしては60分~90分で1セットが多い感じです。
接客形態としては、基本は一人の客にマンツーマンで、指名をしなければ、だいたい15分間隔で女の子が入れ替わるところが多いのが特徴で、女の子の服装は店のコンセプトにもよりますが、セクシー系のドレスが多い印象です。
また、指名するとその女の子の売上になり、女の子が飲むドリンクを注文すると、それも料金に加算され、それも女の子の売上になります。
このような形態ですので、当然ですが風俗営業許可は必要になります。
ラウンジ
これが一番、述べにくいのですが、後で述べる「クラブ」より若干リーズナブルで、キャバクラのように完全マンツーマンでもなく、スナックとクラブの間のような感じです。
店の大きさや女の子のキャスティングによりますが、マンツーマンに近いところもあれば、5~6人ぐらいで全客に対応したりするところもあったりします。
ですので、風俗営業許可が必要か、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要か、飲食業の許可だけでいいのかなどは、実態で判断する必要がありますが、風俗営業許可が必要な場合がほとんどです。
クラブ
関西であれば新地や祇園といえばコレみたいな形態です。席に着くだけ(1セット料金)で数万円という高級な感じです。
基本、女性を指名してマンツーマン接客が多いですが、キャバクラと違うのは、店が空いていれば、指名した女の子以外に何人も女の子が付くこともあります。
あと、キャバクラもそうかもですが、決定的な違いは、女の子が自分のお客を持ち、客の会計の責任もあるという感じです。
このような形態ですので、当然ですが風俗営業許可は必要になります。
ガールズバー
本来はバー、つまり深夜酒類提供飲食店営業。0時以降の深夜オールナイトの営業が可能ですが、風俗営業ではないので「接待行為」は不可となります。
しかし、「バー」というの名の元、実態として「接待行為」が目に余るということで、無許可営業等での摘発が増加しています。「カウンター越しだからいい!」とか「横に座ってないからいい!」というて感じですけど、「接待行為」については、先述のとおりです。
ガールズバーも、実態に合わせて許可や届出をする必要があります。